測定環境の準備
高価な機材をそろえる前に、内臓オーディオインタフェースと安物マイクで測定の練習をしてみました。機材をそろえた測定については続編に譲ります。
パソコン内臓のオーディオインタフェースの性能確認からはじめます。 使用したパソコンはエプソン Endeavor NT6000です。 オーディオインタフェースの入力と出力を直結してプレイバック(ループバック) テストを行いました。使用したのはフリーソフトのRightMark Audio Analyzer 6.0.5です。
RightMark Audio Analyzer
Frequency response (multitone), dB+0.26, -0.32
Noise level, dBA-71.9
Dynamic range, dBA72.1
Total harmonic distortion (THD), %0.021
Intermodulation distortion + noise, %0.084
周波数特性は十分フラットです。 スピーカやマイクの周波数特性、部屋の伝送特性と比べるとずっとフラットですから問題ないと言えそうです。 ノイズやDレンジは外付けのUSB or FireWireのオーディオインタフェースと比較するとかなり劣ります。 しかし、音響測定に支障が出るほど悪い特性ではないと思います。
マイクはヘッドセットのマイクを使いました。型番等は不明です。 これをDenonの古いポータブルMDプレーヤ(DMP-R30)のマイク端子に接続します。 DMP-R30の音量を最大にしてヘッドフォン出力をパソコンのオーディオインタフェースの入力に接続します。 マイクは直接パソコンに接続しません。DMP-R30でマイクの信号を増幅してからパソコンに入力します。 パソコン内部はノイズ源が多いので歪まない程度に増幅してから入力したほうがいいのです。 マイクはリスニングポイントにセットしました。 マイクの周波数特性は分かりませんが、後の測定結果を見ると高いほうは7kHz程度までのようです。測定系を下図に示します。
周波数特性の測定には、2つのフリーソフトを使いました。 信号発生はWaveGene、FFT解析はWaveSpectraです。 ハードウェアの準備が出来たら、WaveSpectraで環境雑音をチェックします。 マイクをonにすると見事な1/fノイズが見れました。 ハウリングに注意しながら、ノイズレベルより信号が大きくなるようにレベル調整します。
下図にLchダブルウーファの周波数特性(赤)とLch上側ウーファ単体の周波数特性(青)を示します。 どちらもアンプ直結でネットワークはありません。 測定には正弦波を使っているので定在波や反射波の影響を強く受けてしまいます。 そのため、周波数特性の凸凹が大きくなっています。
シングルウーファの特性は100Hz〜1kHzで比較的フラットです。 1kHz以上はだらだらと右下がりな傾向があり、4〜5kHzの間にピークがあります。 ユニットのデータシートでもこのピークが見られます。アルミドームの共振でしょうか。 データシートでは5kHzくらいまでフラットとなっていて食い違っています。 何故でしょう?箱のせいでしょうか?それとも測定方法によるものでしょうか? このウーファは、2Wayとして使う場合1〜5kHzのコントロールが鍵となりそうです。 ダブルウーファの特性(青)は300Hz以下がシングルウーファの特性(赤)と比較して 約6dBアップになっています。一方、300Hz以上で両者の特性はほぼ重なっています。 300Hz〜500Hzあたりは判断が難しいところです。 この箱でダブルウーファをフラットに使えるのは300Hz以下、 がんばって500Hz以下ということになりそうです。 測定は100Hzから10kHzまで正弦波をスイープしました。100Hz以下はノイズです。 マイクをオフにすると大幅にレベルが低下するので街の喧騒でしょうか。
2Way化
3Wayに進む前にまずは2Wayで鳴らしてみます。 TweeterにはC2-12を使います。Woofer Boxの上にスペーサを置いて乗せただけです。
この状態でC2-12の周波数特性を測定しました。
ローカットは6.8uFを使用しています。カットオフ周波数は3.9kHzです。 低いほうは1/fノイズで100Hz以下は何か近所の騒音を拾ってしまったみたいです。 マイクの上限が7kHz程度と低いのでtweeterの測定は厳しいようです。 Woofer BoxとC2-12の周波数特性を重ねてプロットすると以下のようになります。
1.5kHz〜3kHzくらいに見事に谷が出来てしまいました。 C2-12のカットオフ周波数を2.2kHzに変更してWoofer Box + C2-12の2Wayにして周波数特性を測定したのが下の図になります。
C2-12のカットオフを下げたのですが、2kHz〜3kHzの谷が残ってしまいました。 この谷はWooferの高域がデータシートほど伸びていないのが原因でできたものです。 なお、700Hz〜1kHzの谷は測定者の位置などの条件によってかわるようなのであまり気にしなくてもよさそうです。
雑感
ダブルウーファのWoofer Boxを作り、2Way化まで行いました。 現在は測定で得られた周波数特性に問題がありながらもWoofer Box + C2-12で鳴らしています。 音は低音がよく出ていて、すこし明瞭度が不足するように感じます。 これは測定結果と同じ傾向なのではないかと思います。 測定データを見てしまったからそう聴こえる(思える)のかもしれません。 しかし、個性的な音であることは間違いありません。 今後の対策として1〜5kHzをフラットにしたいと思います。 それにはどうにかして2〜3kHzの谷を埋めないといけません。 2Wayでこれをうまくまとめる方法を考えるべきか、 さっさと3Wayに進むべきか悩んでしまいます。
今回初めて周波数特性の測定を行いました。 手持ちの機材とフリーソフトのみの測定ですが、 ここに挙げた以外のものも含めて貴重なデータが得られました。 今回の経験から、2Way以上のスピーカを自作する際には、 測定からのフィードバックを得ることはとても重要なことだと思いました。 また、測定データは部屋の特性を知る上でも重要な情報源になると思います。 測定が十分役に立つことが分かったので、 測定系は近いうちにグレードアップしたいと思います。
今回はあまりいい結果が得られませんでした。 続編では 測定系のグレードアップと測定方法の見直しを行いました。 また、クロスオーバネットワークの改良を行い大幅な音質向上が得られました。
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