3Way化
中型3Wayスピーカのwoofer boxが組みあがった状態で、 woofer boxとC2-12と組み合わせた2Wayスピーカ はなかなかの音質に仕上がりました。 本来の計画の中型3Wayスピーカをくみ上げることを忘れてしまいそうな出来なのです。 それでも、さらなる高音質を目指して3Way化を試みようと思います。
3Way化のメリット/デメリット
今回のプロジェクトに関して3Way化で得られるメリットは、

0. 小振幅のmidrangeと大振幅のwooferが分離されることでmidrangeの相互変調歪みが減少する
1. 500-3kHz程度の周波数範囲をダブルからシングルユニットに出来て音のにごりが減る
2. midrangeが小口径化されて周波数特性、指向性が改善される
3. midrangeが小口径化されて駆動力(BL/Mms)が向上する
4. 2./3.により、tweeterとのクロスオーバ周波数を若干高くできる

などが挙げられます。一方、デメリットは

0. 音源が増えるため音源同士の干渉がより複雑になる(部屋の影響を受けやすい?)
1. クロスオーバが増えてネットワークが複雑になるため調整が難しくなる

等が挙げられます。 総じて、歪みが減少して音色は正確になるのですが、 フルレンジ的なまとまりのよさが得られにくくなるように思います。 2Wayでも苦労していたのに3Wayに挑戦してしまって大丈夫なのでしょうか?

Midrangeの選定
3Way化をする際にmidrangeに何を使うかというのはとても難しい問題のようです。 多くの自作スピーカマニアが悩むところではないかと思います。私自身も大いに悩みました。 市販3Wayスピーカの構成を見てみますと、コーン型、ドーム型、ホーン型などが存在します。 20年以上前のスピーカはホーン型が多かったようです。 10〜20年前のスピーカを見ると8cm程度のドーム型もしくはコーン型midrangeが多かったと思います。 最近は15cm程度のコーン型midrangeが多いようです。おそらく、 12〜16cmユニットの周波数特性、歪率が数kHz付近で大幅に向上したことが関係していると思います。 代表的なスピーカを以下に示します。 別のスピーカが代表的だという意見(こだわり)もあるかと思いますが、 ここでは深く考えないで先に進むことにします。
市販3Wayスピーカの代表的構成
方式 代表的スピーカ ミッドユニット ミッドユニット特徴
コーン型 B&W 800D 内製 16cmケブラーコーン
ドーム型 ATC SCM150SL ATC SM75-150S-08 75mm布ドーム
ホーン型 JBL DD66000 JBL 476Be 100mmコンプレッション

どの方式にもそれぞれ魅力がありそうです。 とはいえ、今はtweeterがaccuton、wooferがEtonなので 外観、音質などのバランスを考えるとaccutonかEtonが最有力候補になります。 と言いつつ、他メーカーのユニットでaccutonやEtonをしのぐユニットがあれば使ってみたいと思って広い範囲で検索してみました。
5"未満でMidrangeに使えそうな市販ユニットという条件で検索しました。 ホーン型はtweeterもホーン型に変更が必要と思い予算オーバーで除外しました。 5"以上は駆動力が不足気味、指向性が悪い等の欠点があるため、midrangeとしては不適切だと思います。 (B&Wのmidrangeは6インチですが、数kHzの周波数帯域で実効振動版面積を小さくすることでこれらを改善しているのだそうです。) ユニット一覧を以下に示します。他に有力なmidrangeをご存知の方がいらしたら教えていただければ幸いです。
5"未満でMidrangeに使えそうな市販ユニット
メーカー 型番 特徴
accuton C2-44 2"セラミック逆ドーム
accuton C2-79 3"セラミック逆ドーム
ATC SM75-150S-08 75mm布ドーム
Dayton RS52 2"アルミドーム
Eton 4-300/25 HEX 4"カーボン/ケブラーコーン
Fostex FE83E 8cm紙コーン
Morel MDM55 2"布ドーム
Scanspeak 12M/4831G00 12cm紙コーン
SEAS W12CY003 12cm紙コーン
Vifa D75MX 3"布ドーム
Vifa PL11MH09 11cm紙コーン

これらに共通する傾向をまとめると、
3"未満 ドーム型が多い。
駆動力が強力。(BL/Mms > 1)
1kHz以上の利用が望ましい。
wooferとのクロスオーバがぎりぎり。
3"以上 コーン型が多い。
駆動力はウーファ並み。(0.5 < BL/Mms < 1)
3kHz以上で指向性が悪化するユニットが多い。
tweeterとのクロスオーバがぎりぎり。
となり、一口にMidrangeといっても3"未満のhigh-midrangeと3"以上のlow-midrangeで 全く異なる性質を持っていることがわかります。どうやら、 high-midrangeはtweeterの周波数特性の下限を補うという使い方が適しているようですし、 low-midrangeはwooferの周波数特性の上限を補うという使い方が適しているようです。 500Hz〜4kHzを余裕でカバーしてフラットな周波数特性を持ち、 歪み率が十分小さく、十分な能率を持つユニットは限られているように思います。 これが3Wayのmidrangeで苦労する理由ではないでしょうか? あまり深く考えずに小型のフルレンジから選ぶなら選択肢はかなり増えると思います。 しかし、わざわざ3Wayにするならフルレンジや2Wayより明らかに高性能なmidrangeを使いたいという向上心により自分でハードルを高くしすぎているというのもあるかもしれません。
accutonとEton以外で気になるのは、海外で評判のDayton RS52くらいです。 しかし、このユニットは13kHz付近に10dB以上の共振があるためネットワーク設計が難しいユニットではないかと思います。 また、国産回帰ということで駆動力がすごく高いFostex FE83Eあたりどうかな?と思いました。 しかし、このユニットはプレスのフレームが鋭い共振を持つのでフレームのダンプが必要そうです。 また、歪み率の実測データが見つからなかったとこともあって残念ながら選択肢からはずしました。 全くデータがありませんがFE138ES-R等も気になります。 Vifa PL11MH09は外観も性能も癖がなくてよさそうだなと思ったのですが、 どうやら生産終了のようで入手困難な状況です。 なかなか一筋縄ではいきません。 結局、accutonとEtonのなかから選ぶことにしました。
Midrange候補
ユニット サイズ 駆動力 指向性 周波数特性 歪み率 能率
C2-44 2" 2.67 フラット ×
C2-79 3" 0.69 カマボコ
C2-89 T6 5" 0.76 カマボコ
4-300/25 HEX 4" 0.88 フラット

もともとC2-44に一番興味を持っていたのですが、 C2-44は実質的な能率が86dB程度しかなくダブルウーファと相性が悪そうです。 無理やり使ってもC2-44の性能を十分に生かすことが出来ないのではないかと思うので 「ミッドハイの追加で高解像度サウンド狙い」はあきらめます。 (18cmシングルウーファ+C2-44+C2-12のような組み合わせが面白いのではないでしょうか?)
残りのC2-79、C2-89-T6、4-300/25 HEXは駆動力を見る限りほぼ横並びです。 7-375/32 HEXの駆動力が0.52なのでどれを選んでも駆動力が劇的に向上するということはなさそうです。 周波数特性は4-300/25 HEXがフラットで使いやすそうです。 一方、C2-79、C2-89-T6は1-2kHzにピークを持つかまぼこ型ですが、 補正するなり上手にクロスさせるなりすれば使いこなせると思います。 (周波数特性を測定しながらネットワークを設計すれば何とかなるレベルでしょう。) ありがたい事にどのユニットもメーカーHPに歪み率が公開されています。 どのユニットも大変歪み率が低いです。あえて優劣をつけるならC2-79が一番低いようです。 4-300/25 HEXは3次歪みが若干大きいようです。 能率は3者ほぼ同一ですがC2-89-T6が辛うじて高いようです。 歪み率に優れるC2-79、周波数特性に優れる4-300/25 HEXのどちらかを選ぶのがよさそうです。 周波数特性はネットワークで補正することが出来ますが、 歪み率は補正できないということでC2-79にしようかと思います。 散々悩んだわりになんとも順当な結果となってしまいました。